研究テーマ

計測技術の進歩に伴い、航海中の船舶の運動などの船体応答をリアルタイムで計測することが可能となってきています。船体応答が計測されたとして、別途推定された応答の伝達関数を介して遭遇波を時間領域で推定する技術に関する研究に取り組んでいます。これにより、船上で計測困難な遭遇海象の把握が可能となります。

船舶の横揺れ運動などは伝達関数のみで表現が困難な非線形性を示します。上述の遭遇波の再現法を活用して、非線形応答を特徴づけるパラメータ（線形/非線形減衰や固有周期など）をオンボードで同定する手法に関する研究に取り組んでいます。これにより、重大な事故に繋がる非線形応答を船上で予知することに繋がり、避航判断の材料となることが期待されます。

数理モデルを用いて船体応答の極値の超過確率を予測（極値予測）するには、波を確率過程としたモンテカルロシミュレーション（MCS）が一般的です。しかし、非線形性が強い応答の場合は計算負荷が大きくなるため、MCSは非現実的となります。効率的な極値予測を実現するため、信頼性理論FORMやガウス過程回帰（クリギング）を活用した手法に関する研究を行っています。